個人間の借金問題は意外と多くの人が経験するトラブルです。借りたお金が返済されない場合、まずは内容証明郵便で請求するのが一般的ですが、それでも相手が応じない場合はどうすればいいのでしょうか?そんな時に検討すべきなのが「少額訴訟」です。今回は、少額訴訟手続きについて、初心者の方にも分かりやすく解説します。
1. 内容証明郵便を送ってみたけど効果がない?
内容証明郵便は、相手に正式に「返済を求めている」という意思を伝える方法です。しかし、相手が無視する場合や、支払い能力がないと主張する場合、問題が解決しないこともあります。
効果がなかった場合の次のステップ:
- 相手に直接連絡を試みる(冷静かつ誠実に)。
- 第三者を交えた話し合い(例えば、弁護士や家族)。
それでも解決しない場合は、法的手続きを考えましょう。
2. 少額訴訟とは?
少額訴訟は、60万円以下の金銭トラブルを簡易裁判所で迅速に解決できる制度です。通常の裁判に比べて手続きが簡単で、費用も抑えられるのが特徴です。
メリット:
- 手続きが簡単
- 判決までが早い(通常1回の審理で終了)
- 弁護士を依頼しなくても自分で進められる
デメリット:
- 一度の訴訟で請求できる金額は60万円以下
- 相手が控訴した場合、通常の裁判に移行する可能性がある
3. 少額訴訟の進め方
- 必要な書類を揃える
- 借用書、LINEやメールのやり取りの記録
- 内容証明郵便の控え
- 振込の証拠(銀行の取引明細など)
- 簡易裁判所に申し立てを行う
- 相手方の住所を管轄する簡易裁判所で手続きを行います。
- 訴状(裁判所のウェブサイトでダウンロード可能)を記入し、提出します。
- 裁判所に収める手数料(印紙代)と郵送費が必要です。
- 審理に出席する
- 審理日には、主張や証拠をしっかり伝えましょう。
- 相手方が出席しない場合でも、判決が下されることがあります。
- 判決の執行
- 判決が下されたら、相手が返済を行う義務が生じます。
- 支払いがなければ、差し押さえなどの強制執行を依頼できます。
4. 少額訴訟の実際の体験談を交えて
少額訴訟を利用したAさん(仮名)のケースでは、借りた友人が内容証明を無視したため、少額訴訟を起こしました。証拠を丁寧に揃えた結果、判決はAさんの勝訴。結果的に相手から全額回収できたそうです。
5. 少額訴訟を考える前の注意点
- 相手が本当に支払い能力があるか確認する
→ 無い場合、判決を取っても回収できない可能性があります。 - 信用を取り戻したい場合には和解も検討する
→ 裁判では関係が修復されないことが多いです。
6. 少額訴訟にかかる費用
少額訴訟を利用する場合、必要となる費用は比較的少なく抑えられます。ここでは、主な費用について詳しく説明します。
(1) 裁判所に納める費用(訴訟費用)
裁判所に訴えを起こす際には、以下の費用が必要です。
- 収入印紙代
訴訟の目的金額(請求する金額)によって、収入印紙代が決まります。以下は主な目安です:- 請求額10万円まで:1,000円
- 請求額20万円まで:2,000円
- 請求額30万円まで:3,000円
- 請求額50万円まで:5,000円
- 請求額60万円まで:6,000円
- 郵送費(切手代)
裁判所が書類を相手に送付するための郵送費が必要です。具体的な金額は裁判所によって異なりますが、**数千円(1,000~3,000円程度)**が目安です。申し立て時に裁判所から案内があります。
(2) 証拠準備にかかる費用
証拠として提出する書類を準備する際、以下の費用が発生する場合があります。
- コピー代
借用書やメール、LINEのやり取りのスクリーンショットなどを複製する費用。1枚数十円程度。 - 郵便費用(内容証明郵便の控え)
内容証明郵便を送る際の費用は1通あたり約1,500~2,000円。送付記録を証拠として活用できます。
(3) その他オプション費用
- 弁護士等への相談料
自力で進めるのが不安な場合、専門家に相談することもできます。相談料は30分あたり5,000~10,000円程度が一般的です。
※ただし、少額訴訟では弁護士をつけないことが多く、費用を抑えるため自力で進める方も少なくありません。 - 交通費
裁判所への移動費用(公共交通機関の利用料やガソリン代など)が必要です。
少額訴訟の総費用の目安
たとえば、20万円の借金返済を求めて少額訴訟を起こした場合、以下のような費用が発生します:
- 収入印紙代:2,000円
- 郵送費(切手代):2,000円
- 証拠準備費用(コピー代など):1,000円
- 交通費:1,000~3,000円
合計:6,000~8,000円程度
※弁護士等への相談が必要な場合は、別途費用が追加されます。
6.まとめ
個人間の借金問題は感情が絡むため、冷静に対処するのが難しいこともあります。しかし、法的手段を正しく理解しておけば、無駄なトラブルを回避し、早期に解決することが可能です。必要であれば、専門家(弁護士等)に相談するのも選択肢の一つ。自分の権利を守りつつ、最善の解決策を見つけましょう!
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